Saturday, 19 January 2008

ロンドンからケンブリッジへ

英国で一番美しい町、ケンブリッジに行ってきました。電車で気軽に行けますので、ロンドンからの日帰り旅行を計画している方にお薦めします。

ケンブリッジに行くには、キングス・クロス駅から電車に乗るのが一番便利です。ケンブリッジまで30分おきにノンストップの電車があり、片道約50分の快適な旅です。

ケ ンブリッジのに到着したら、駅前にバス停があります。①、③、⑦番のバスが、街の中心部まで行きます。5分くらいで到着します。料金は1ポンド10ペンス です。郵便局の前でたくさんの人が降りるので、分かると思いますが、不安でしたら「タウン・センター?」と周りの人に聞いてください。バスを降りたら、左 側がショッピング・センターで、右側にクライスト・カレッジがあります。ということで、クライスト・カレッジ発着のケンブリッジ・ウォークをご紹介したい と思います。

クライスト・カレッジ

1437 年にウイリアム・ビンガムが創立、1505年にヘンリー7世の母であるレディー・マーガレット・ボーフォートが再建しました。門の中心には創立者のマーガ レットの像、その下の紋章はボーフォート家のものです。両側にあるのは、神話上の獣のイェールで、角を前後に回転することもできる山羊の頭と、アンテロー プの体、そして象の尻尾を持っています。

「種の起源」のチャールズ・ダーウィンの出身校です。写真の第一校舎は16世紀の建物です。

シドニー・サセックス・カレッジ

シドニー・サセックス・コレッジは、解体されたフランシスコ会修道院跡地に、1596年にサセックス伯爵夫人フランシス・シドニーの遺言によって設立されました。

写真の建物は16世紀、17世紀の建物ですが、19世紀初頭に改装されて、セメントで上塗りされました。

ピューリタン革命の時に軍を指揮し、王党派を撃退し、国王チャールズ1世を処刑し、革命を成功させ、共和制を敷いたオリバー・クロムウェルの出身校です。

ジーザス・カレッジ

イーリー司教のジョン・オールコックによって1496年に創立されました。写真の門楼は1500年ごろに立てたものです。

修道院の教会として使われていたチャペルは、ケンブリッジ最古の建物です。

12世紀に建てられた女子修道院を譲り受け改装したので、コレッジの歴史より古い建物が残っています。

敷地が広く、古い建物と新しい建物が混在しています。オープンな印象を受けるコレッジです。

ラウンド・チャーチ

英国では数少ない円形教会のひとつで、エルサレムの聖墓教会を記念して1130年ごろ建てられました。(円錐型の屋根は19世紀)。

モードリアン・カレッジ

ケム川を渡ったところにあるモードリアンは、1542年にヘンリー8世の大法官ウォルデン公オードリーが創立しました。第一校舎は、創立以前にベネディクト会修道院宿舎として使われていた1428年建造の建物です。

セント・ジョンズ・カレッジ

ケム川の近くに、あるセント・ジョン・カレッジのチャペルの塔と、1月に満開の桜の花。異常気象?


正門は1516年に完成しました。彫刻は創立者であるレディー・マーガレット・ボーフォートの紋章で、その上には、聖ヨハネの像があります。中世にはここには聖ヨハネ会の修道僧が運営していた聖ヨハネ(=ジョン)病院がありました。

正門を入るとすぐ右側に見えるチャペルは1868年に建てられました。ほとんどのコレッジは中庭までは無料で入れたのですが、セント・ジョンだけは入場料(2ポンド50ペンス)を支払いました。その代わり、詳しくコレッジの歴史を書いた紙(日本語あり)をもらいました。

四面を囲む形の建物を、ケンブリッジではコート(Court)、オックスフォードではクオッズ(Quadrangle)
と呼ばれています。第二コートはチューダー時代の建物です。各コレッジの中には、それぞれ、寄宿舎、礼拝堂、図書館、大食堂、厨房などがあります。

第三コートは市民戦争から立ち直った、1669年から72年にかけて造られました。ケンブリッジ市民全体が議会派だったにもかかわらず、国王派だったカレッジは苦しみました。

新校舎と旧校舎の間にケム川が流れています。

旧校舎と新校舎をつなぐ、溜息橋です。もちろんベネチアの有名な橋を真似して造られました。

川を渡るとニュー・コートです。

1831 年完成の新校舎。多くの学生に宿泊施設を与えるために造られた建物で、川の西側に主要な建物を建てたのはセント・ジョンズ・カレッジが初めてです。この建 物の奥には20世紀の建物もあります。1921年にクリップス・ビルディングが建てられた時、フェローの一人が「なんで学生たちは風呂が欲しいんだい? 一学期、たった8週間しかいないじゃないか。」と言ったそうです。学者は風呂に入らない?

トリニティー・カレッジ

1317 年設立のキングス・ホールと、1324年創立のマイケル・ハウスを、1546年にヘンリー8世が接収して、トリニティー・カレッジを設立しました。ヘン リー8世は、修道院解体令で没収した資産から多額の資金を与えました。現在も英国王室とのかかわりが深く、ここのマスター(学長)は今でも国王から直接任 命されます。

正門の彫刻は、もちろんヘンリー8世。離婚するために宗教改革をしたり、6人の妃を持ったり、修道院を解体したり、英国史で一番有名な王様です。この像は昔は王しゃくを持っていたのですが、悪戯な学生によって、1950年代に椅子の脚に替えました。

門を入る前に、ニュートンの(実家の)万有引力の発見の元となった林檎の木(の子孫)を確認してください。この林檎の木の向こうの出窓がある部屋に、ニュートンは住んでいました。

門 の中に入ってすぐ目に付くのは大きな芝生の中庭(グレート・コート)とルネッサンス風の噴水です。この中庭を取り囲む形で、チャペル、食堂、各教授の研究 室があります。面積800平方メートルのグレート・コートは、オックス・ブリッジのカレッジの中でも最大規模です。学生の伝統的なチャレンジは、時計が夜 中の12時の鐘を鳴らしている間に中庭を一周することです。

コレッジ内の郵便配達のおじさんは、山高帽をかぶっていました。

ピューリタン革命の発端になった聖メアリ教会。

今でもこのダイニング・ホールで、学生は食事をします。
有名建築家のクリストファー・レンが設計した図書館には、ニュートンの手紙や、AAミルンの「ウイニー・ザ・プー」の原本があります。

ケム川サイドから見た校舎。

ゴンヴィル&キーズ・カレッジ

有名なキングス・カレッジとトリニティー・カレッジの間にあって、ちょっと地味な存在のゴンヴィル&キーズ・コレッジです。

でも、入ると並木がある中庭がとても綺麗です。

1348年にエドマンド・ゴンヴィル司祭が創立し、ジョン・キーズが1557年に再建しました。

この門は、名誉の門(Gate of Honour)というのだそうです。

クレア・カレッジ

クレア・コレッジは1326年にエドワード1世の孫娘エリザベス・ド・クレアが設立しました。

1638年建設のクレア橋はコレッジにかかる一番古い橋です。欄干の上には球形の石が14個乗っています。

そのひとつは一部が欠けています。橋の設計士があまりにわずかな報酬に講義したらしいです。

グレート・セント・メアリ教会

グレート・セント・メアリ教会は、古くから街の中心地でした。

ローマ時代以降、イギリスに初めて建てられた、マイル標石は、この教会から測定されました。

今でも学生は教会から3マイル(約5km)以内に住んでいなければなりません。

中はこんな感じです。

この教会は塔に登ることができます。高いところが好きな方は必見です。が、この狭い螺旋階段を123段を上れて、下りられる人のみです。料金は2ポンド50ペンスでした。

教会の塔の上からの眺めはこんな感じです。

これは、セント・ジョンズ・コレッジのチャペル。


これはSenate House、卒業式などはここで行われます。

有名なキングス・カレッジのチャペルも見下ろせます。

キングス・カレッジの向こうには、セント・キャサリン、クイーンズとカレッジが続きます。隣の広場にはマーケットがあります。